特製本金額製作工程の紹介『林武パステル作品』

今回は林武のパステルデッサン画作品を、本金箔水貼り仕上というの高級古典額縁を製作して額装しました。
とても時間と手間はかかりましたが、その制作の工程をご紹介します。

先ずは下地材の製作からです。

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①作品に合わせたイメージをデザインして、オリジナルの型取りした下地木地額を組上げます。
(下地木地は木地専門職人に外注します。どのような材料を使用するとか、断面はどの型にするとか細かく打ち合わせて1枚より成形してもらいます)

②今回は四角に花彫の彫刻を入れるので、彫刻のしやすい樹脂パテを盛り上げ貼りつけます。

③額全体は直線を柔らかくした崩し彫をして、角の花彫りは4箇所とも変えました。
(崩し彫は、少し遊び心があり、手作りの雰囲気を強調した仕上がりになります)

④下地石膏を膠(ニカワ)水で溶き、塗っては乾かして何度も重ね塗りをします。この時の水と石膏と膠の分量が本金箔の輝きに大きく左右します。また細かな彫刻は石膏で潰れてしまうので、その都度彫り直しては石膏塗りの繰り返しです。

⑤乾湿分けて石膏を研磨します。

⑥箔下用の特殊砥粉(トノコ)を塗ります。この砥粉には赤と黒があり、仕上のイメージにより塗り分けます。

どのような作業でもそうでしょうが、下地作りによってその後の仕上がりが大きく変わってしまいます。地味で時間のかかる作業ですが、怠るわけにはいきません。

次は金箔貼りの紹介です。

規格額縁などに貼られる金は銅と亜鉛からなる洋箔・真鍮箔(シンチュウハク)と呼ばれ、通常はニスなどを接着材として額縁に貼られます。
今回製作のような技法は本金箔を水だけで(場合によっては薄い膠水)貼っていく古典技法の作業です。
本金箔は洋箔に比べ厚みが非常に薄い為、取扱がとても大変です。

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⑦⑧箔下トノコの上に水を塗り、紙に転写したり箔刷毛を使用して 金箔をのせて接着します。

⑨⑩箔貼り乾燥後に瑪瑙(メノウ)石の付いた特殊道具で金箔を磨いていきます。額縁の場合は色々な形状になっているため、瑪瑙棒も何種類か必要になります。磨いた後には眩しいくらいの黄金色がでてきます。(古今東西、人間が金に魅了されてきたのがよくわかります!)

⑪額縁は絵や工芸品と違い作品を引き立たせる為の商品ですので、“キンキラ金”のままではあまり好まれません。中に入れる作品に合わせ、イブシ加工をしたりアンティーク調、モダンスタイルに仕上たりします。本金箔の輝きを残しつつ、品良く高級感を出すにはやはり技術と感覚と経験が必要だと思います。

額縁が完成した後は、作品をセットするまでの額装です。

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⑫額縁と作品を合わせてマットを決めます。マットは作品保存を重要視したミュージアムボードを使用して、マットライン加工をする予定です。

⑬イタリー製や国産製の手彩マーブル紙を細く切って、マットに縁取りします。角はそれぞれ模様や色合いを合わせながら貼ってゆきます。

⑭⑮数本の色ラインを烏口(カラスグチ)で引き、パステルを粉状に削ったパウダーを塗りこみます。飾り枠のように全体が締まりました。

表面はUVカットアクリル、作品の裏にもミュージアムボードで保存、裏板も保存用のボードと紙貼りで全て完成しました。

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【額装No.15-0919】
品番: KOHF07-2-51
額縁外寸法: 62×48㎝
仕様: UVカットアクリル、ミュージアムマットBOOK加工
参考額装価格: 額縁売却済み(新規ご注文承ります)

完成品は店内に展示しております。ご来店の際はどうぞをご覧下さい。

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